
心理学の研究に基づいた「伸びる褒め方」
こんにちは、ブレイズ29番です。
選手がヒットを打ったり、三振を取ったりしたとき、私たち大人はつい「すごい!」「才能ある!」とつい結果や能力を褒めたくなりますね。もちろん、子供と一緒に喜ぶのは素晴らしいことです。
でも、近年の心理学や教育学の研究において、「能力」や「結果」だけを褒め続けることは、かえって子供の成長を止めてしまうリスクがあるということが分かってきました。
今日は、子供の挑戦心を守り育てるための「褒め方の技術」についてシェアしたいと思います。
野球の指導だけでなく、子育てなんかにも応用が効く話なので、ぜひ読んでみて下さい。
「才能」を褒められた子は、新しい挑戦を避けた

なぜ「結果」や「才能」だけを褒めてはいけないのか。これに関しては、スタンフォード大学の心理学者キャロル・ドゥエック教授(研究当時はコロンビア大学)が行った、有名な実験が参考になります。
「パズルの実験」が示すマインドセットの違い
数百人の子供たちにパズルのテストを受けさせ、点数を伝えた後、2つのグループに分けて異なる褒め方をしました。
- プロセス(努力)を褒めるグループ:「すごい点数だね! 君はよく頑張った(努力した)ね!」
- 能力(才能)を褒めるグループ:「すごい点数だね! 君は頭がいい(才能がある)ね!」
その後、「もっと難しいパズル」と「簡単なパズル」のどちらかを選ばせると、大きな違いが出ました。
- プロセスを褒められた子の90%は、「難しいパズル」を選んで挑戦しました。
- 一方、能力(才能)を褒められた子の多くは、「簡単なパズル」を選びました。
なぜか?
才能を褒められた子供は、「失敗して『才能がない』と思われること」を恐れるようになり、守りの姿勢(硬直マインドセット)に入ってしまったのです。
逆に、プロセスを褒められた子供は、「努力すればもっと伸びる」と学習し、困難な課題を歓迎する姿勢(成長マインドセット)を獲得しました。
野球における「内発的動機づけ」

この理論を野球の現場に置き換えてみましょう。
私たちが大切にしなくてはならないのは、賞罰でコントロールすることではなく、子供自身が持っている「もっと上手くなりたい」「野球が楽しい」という意欲を高めること。
これを心理学用語で「内発的動機づけ」と呼びます。
もし「ヒット」という結果だけにフォーカスすると、打てそうな相手の時しかやる気が出なくなる恐れがあります。
しかし、「フルスイング」や「準備」というプロセスを評価軸にすれば、どんな強い相手でも挑戦する意欲を保てます。
この意欲を育てるためには、「結果」と「プロセス」をあえて分けて声をかける必要があります。
① ラッキーなヒットは「褒めすぎない」
例えば、打ち損じのポテンヒットで出塁できたとき。結果は「ヒット」ですが、ここで大人が「ナイスバッティング! 結果オーライ!」と手放しで褒めてしまうのは要注意。(よく目にしますが笑)
なぜなら、子供の脳が「あの体勢が崩れたスイングでも正解なんだ」と勘違いして記憶してしまうからです(悪癖の強化)。
正解は、「おお、ラッキーだったね!(結果は運)。次はもっと自分のスイングができるようにしよう(プロセスへの修正)」と、運と実力を分けて声をかけることです。
こうすることで、選手は「結果は出たけど、今のスイングでは本当はいけないんだ」と正しく学習できます。
② 空振り三振こそ「褒める」チャンス
逆に、「狙い球を絞ってスイングしたけれど、空振り三振だった」という場面。結果はアウト(失敗)ですが、これは絶好のフィードバックの機会です。
ここで「なんで三振したんだ!」と結果を叱ってしまうと、子供は「振ること=怒られるリスク」と学習し、バットが出なくなってしまいます。
ここは、プロセスを全力で肯定するのが正解です。
- 「自分の頭で考えて振った」
- 「恐れずにスイングした」
これに対し、「今の狙いは完璧だ!」「ナイススイング!」と声をかけます。
これは単なる慰めではなく、「その挑戦(プロセス)は正しい」と認めることで、選手が次も迷わずバットを振れるように背中を押しているのです。
「挑戦する心」を育てるために

もちろん、勝負事ですので結果を出すことも大切です。
しかし、それ以上に私たちが大切にしなくてはならないのは、野球を通じて「困難な壁にぶつかっても、プロセスを工夫して乗り越えようとする姿勢」を育てること。
この「成長マインドセット」は、野球だけでなく、勉強や将来の仕事においても強力な土台になるはずです。
ご家庭でも、もしお子さんが素振りをしていたら、「上手だね」だけでなく「毎日続けていて素晴らしい!!」と、その過程に目を向けて声をかけてみてください。
そうした積み重ねが、お子さんの「挑戦する心」を育んでいくはずです。
私たちも、グラウンドではそんな「根拠ある言葉がけ」を意識して指導しています。ぜひ一度、練習の雰囲気を見に来てください。

