野球はアメリカ発祥なので、審判のコールは英語で行われます。そのコールの中で「ストライク」があります。みなさんも聞いたことがあると思いますが、その「ストライク」にはどんな意味があるかしってますか?

ストライクに込められた思い

ストライク = Strike で「打つ」という意味です。同じ意味の言葉でHitがあります。


球審がいう「ストライク」は命令形なので、日本語でいえば「打ちなさい」です。球審は、バッターが打てるコースに投球がきたと判断したから、「その球うてるよ」という意味で「ストライク」とコールしているのです。


ちなみに、ストライクゾーンはルール上明確に決まっていますが、割と柔軟に運用されています。まだコントロールもままならないピッチャーが多い下級生であれば、ストライクゾーンは広くなります。フォアボールばかりで試合にならなくなることを防ぐため、少々高くても低くてもストライクにするのです。


またバッターの積極性を養うために、バットが届く範囲であれば、ボール気味の球でもストライクにするという考え方もあります。


以前、審判講習会で聞いた話ですが「メジャーリーグでも育成世代では、外角のストライクゾーンが広い」そうです。ホームベースよりボールひとつふたつ外れていてもストライクにするとか。なぜかといえば、フォアボール狙いのバッターをなくし、積極的に打ちにいくバッターを育てたいという考えからだそうです。

「打てるボールを打つ」がブレイズの考え方

ブレイズも同じ考え方です。基本的にはカウント関係なしに「打てるボールがきたら打て!」です。


ここで打てるボールとは、いわゆる甘いボールのことを指します。野球はそもそもピッチャー有利なスポーツです。ストライクゾーンギリギリに投げられたボールをなかなかヒットにすることができません。


ヒットにできるボールは限られているのだから、初球でも打てるボール(甘いボール)がきたら、見逃さず積極的に打っていきなさいと教えます。


ピッチャーだって、バッターに打たせないように投げているわけですから、その打席のうちに打てるボールが何度もくるわけではありません。ファーストストライクはどんどん打つべきです。



どんどん振っていこう! そうすると特に下級生は、とんでもないボールを振っちゃうしほとんど三振します(笑) それでもいいんです。全く振らずにフォアボールを狙っているよりもずっと成長するはずです。


四年生くらいになれば、選球眼も付いてきてストライクとボールの見極めもできるようになります。上級生になれば、狙い球を絞って打席に立つこともできます。


子供が成長してできることが増えたら、それに合わせて指示を出せばいいんです。でも基本は「ファーストストライクを積極的に打つ!」です。

野球の入り口に立つ子供たちに私たちができること

Facebookに、野球をやっている子供たちの未来について考えるグループがあり、ブレイズでは中井監督や自分もメンバーの一人です。


そこでは子供たちを取り巻く野球界の課題について、日々活発な情報交換や議論が行われていています。


先日、日本ハムファイターズの大渕スカウト部長から以下のような投稿がありました。

高校野球視察のとなりで小学生の野球大会の映像。「野球を始める=試合をやる」に大人の工夫が必要。昨日の塚本さんの投稿がとても参考になります。

・本来4年生でチームを組むところ、大会参加のため2.3年生もゲームに出す状態
・ツーストライクまで打つな、という監督
・そもそも三振ストライク3つと四球ボール4つを理解せずに出場
・空振りしちゃダメ、と大きな声で監督に指示される
・まず四球を選ばせ、ベンチから「走れ走れ!」の暴走指示の繰り返しで得点
・小さい子はボールを怖がって、投球を打つどころか避けている状態
・このレベルでユニフォーム、ヘルメットだけでなく、手袋まで装備。(お母さん一眼レフ)
・監督からのブロックサインでバスター見逃しの盗塁
・「監督が振れというまで振っちゃだめだよ〜」という優しい声に小さく頷く小学二年生の女の子。

現状、これが野球の入り口。

いわゆる待球という作戦です。これくらいのレベルの子供たちだと四球で塁に出れば、二盗、三盗と走ることができるので、三塁打と同じです。それからワイルドピッチやパスボールでヒットなしで1点取ることも難しくないでしょう。


こうしているだけで確かに点は入るかもしれません。レベルの低い相手であれば試合に勝つこともできるでしょう。


でも、野球を教えるという立場に立った場合、「選手に待球を強いる」それでいいのでしょうか? 子供たちはそれで野球が楽しいと思ってくれるでしょうか?


真芯で捕らえた打球がグングンと空に吸い込まれていく。手にはいつまでも打った感触が残っている。なんともいえない爽快感や達成感。これがバッティングの醍醐味だし、野球の楽しさのひとつだと思います。それを教えるため、そんな思いをしてもらうために、わたしたち野球の指導者は努力すべきです。


「フォアボールなんか狙うな!」「思い切って振ってこい!」ブレイズの指導者たちがよくいう言葉です。三振してきたって「ナイススイング!」「次はうてるぞ!」そんな言葉をかけています。


この件について元慶応高校野球部監督上田先生とTwitterで会話をしたのですが、その時の先生の言葉を紹介して今回は終わりにしたいと思います。


三振は「産新」です。振れば新しい事が産まれます。「カッコいいスイングだったぞ」「次はホームランだなあ」と言ってあげたいですね。


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Yokohama Blaze

横浜市南区少年野球チームの横浜ブレイズです。できたばかりのチームですが、スタッフはみんな経験豊富で、子供と野球が大好きです。 子供の特性を理解して練習スケジュールを組み、楽しく愛情をもって丁寧に指導します。