少年野球の指導者になるのに特に資格は必要ありません。
極端なことを言えば、野球経験があってもなくても、知識があってもなくても、指導者として受け入れてくれるチームがあるなら、その日から少年野球のコーチになれます。
投げさせすぎ。
振らせすぎ。
無駄な遠投練習。
小学生に筋トレ。
小学生に必要以上の走り込み。
資格がなくても指導できることもあって、子供の身体や考え方の特性を知らないまま指導している少年野球の指導者もチラホラ見かけます。
その結果ケガにつながったり、野球嫌いになってしまったり。
子供は大人のミニチュアではありません。
まだ発達途上にいる子供の身体と成長が終わった大人の身体ではつくりが違います。
その特性を理解して、練習メニューを考えなくてはなりません。
また、集中力、理解力にも特性があります。
少年野球の指導者は子供の特性を考慮しながら指導しなくてはなりません。
そのため、たとえプロ野球選手といえども、子供を上手に教えられるとは限らないのです。
それでは、どんなことに気を付ければいいでしょうか。
今回はそんな話です。
最も大切なのは観察力
少年野球に限らずどの年代にも当てはまる事だと思いますが、指導するのに最も大切なことは観察力です。
技術はもちろん、表情や行動、選手同士の会話などを観察して、選手がどのような心理状態でいるのかを把握するのは、指導する上でとても大切なことです。
些細な変化に気づかない鈍感な人、人の気持ちを読めない人は指導者に向いていないかもしれません。
子供の身体の特性に合わせて指導する
以前は適切な知識を持っていない指導者が多かったので、「練習中は水を飲んじゃダメ」とか、「ピッチャーは肩を冷やしちゃダメなのでプール禁止」とか、今となっては笑いのネタになるようなことが平然と行われていました。
時代が変わって、今ではスポーツ医学が進み、色々なことが分かり、正しい情報も簡単に入るようになりました。
その分、勉強をしようとする指導者と、そうでない指導者の知識の差が広がったともいえます。
横浜ブレイズでは、常に新しい情報に目を向け、ミーティングを通じて指導者間で情報の共有をしています。
子供は大人の縮小版ではない
子供と大人は、身体のつくりがそもそも違います。
子供の骨はまだ発達途中で柔らかいので、投げすぎ、バットの振りすぎはケガにつながります。
練習でも全力投球の球数を制限しましょう。
横浜ブレイズでは、以下の球数を一日の全力投球の目安にしています。
また、少年野球ではチームの中で飛びぬけた実力の選手がいると、その選手への負担が増加してしまうことがあります。
毎試合、毎試合投げさせられ、挙句の果てにケガをしてしまう。そんな選手が周囲にいませんか?
それを防ぐためにピッチャーを何人か育てておきましょう。
四人そろえばベストです。三人ならなんとか回せます。
少年野球は技術優先で教える
「ゴールデンエイジ」って聞いたことありますか?
9歳から11歳ごろに訪れる、人生の中で最も運動神経がよくなる時期のことです。
3歳から8歳を「プレゴールデンエイジ」、12歳から14歳を「ポストゴールデンエイジ」といい、それぞれスポーツが上手になるためにはとても大事な時期です。
この時期は技術がどんどん身に付くので、技術系のトレーニングをメインにするといいのです。
持久力やパワーは、中学生、高校生になってから発達するので、小学生にグラウンドをぐるぐる何周も走らせたり、筋トレをさせたりしても意味がありません。
指導者は、子供の成長に合わせた練習メニューを組む必要があります。
子供の考え方の特性に合わせて説明する
子供は集中力がなくて、飽きっぽいものです。
それに忘れっぽいので、せっかく教えても、教えたことを全然覚えていない場合があります。
指導者は、子供の特徴をあらかじめ理解して、子供にとって分かりやすい教え方をするのが大事です。
DeNAベイスターズの光山バッテリーコーチもインタビューの中で同じようなことを言っていました。
「子どもに対しては、何事もわかりやすく言う必要があります。それでちゃんと教えれば、キャッチボールもできなかった子が連係プレーまでできるようになる、ということもわかりました」
擬音を使って伝える
いくら論理的に正しいことでも、子供には難しいことを言っても伝わりません。
「前足に体重を移動させて、身体は開かないようにして投げる」などといってもチンプンカンプンです。
それよりも「腕を大きくビュンと振ろう」など、擬音を使って伝えるほうが理解してくれます。
子供にうまく伝わる擬音をさがしてみて下さい。
同じことを繰り返し伝える
もちろん個人差はありますが、子供はいくら教えても歩留まりが悪いです。
指導したその場は覚えていてきちんとやっても、次の日には忘れてます。
そんな時、イライラしても仕方ないです。そういうものなので。
身に付くまで、同じことを何度も何度も何度もしつこいくらいに繰り返し伝え、反復練習することが大事です。
飽きさせない工夫をする
子供はめちゃめちゃ飽きっぽいです。
繰り返し基本を練習をしないと、基礎は身に付きませんが、同じ練習を続けている退屈し始めます。
低学年なら練習そっちのけで砂いじりをはじめたり、高学年でも勝手におしゃべりをはじめたりして練習どころではなくなります。
「褒める」「笑わす」そして「叱る」
子供を集中させるために、指導者は、「褒める」「笑わす」「𠮟る」の三つを使いこなす必要があると思います。
時には「叱る」ことも必要になります。
ただ、感情にまかせて「怒る」のではなく、その他の関係をしっかりと作った上で、選手をよい方向に導くために「叱る」ことが大切です。
いきなり怒鳴り散らしてもダメです。パワハラで訴えられます(笑)
優しく褒めたり、いっしょにふざけて笑ったり、指導者と選手の人間関係をしっかりと作ってから「叱る」ことが大事だと思います。
飽きさせないための練習の工夫
練習をする時も工夫が必要です。
子供を待たせないためには、人手がある程度必要になります。そこで、お父さんの出番です。
お父さん達は可能な範囲でグランドに来てもらって、球出しなどを手伝ってもらいます。
また、子供はゲーム要素のある練習が大好きです。
ストライク選手権、ニアピンバントトーナメントなどと名前をつけて競争させると、スローイングやバント練習も集中して取り組んでくれます。
まとめ
今ではインターネットが発達して、少年野球レベルの指導者にも、指導に関する情報が簡単に手に入るようになりました。
指導に関する本もたくさん出版されています。
しかし、簡単に情報が手に入るということは、逆に情報格差を生みます。
知ろうとする人には、情報がどんどん集まり、知ろうとしない人には情報が集まらないからです。
正しい情報を集め、理解し、対策を立てる。
わたしたちは常にそういうチームであり続けたいと思います。
Yokohama Blaze
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